ドローンでカワウを撃退

忌避剤、光、音、カメラ、センサー

ドローンを活用した鳥獣害対策とは?カワウ対策とドローン

最新技術ドローンを活用したカワウ対策の概要をご紹介し、ドローン活用の可能性を考えます。

カワウによる鳥獣被害とは

近年様々な技術や機能を取り入れて対策が行われている鳥獣被害対策のうち、実際にドローン活用をしているカワウの被害対策をご紹介します。

カワウの特徴

カワウとは、世界に広く分布するペリカン目ウ科の鳥類の一種で、体長は80〜85センチほど、体重1.5〜2.5キロほどの鳥です。

沿岸部の海水域から内陸部の淡水域まで幅広い水辺に生息し、水に潜って魚を食べます。

大食漢なカワウは1日に250〜600gの魚を食べたという記録もあり、体重の割合から見ても大変多くの餌を必要とすることが分かります。

捕食のために水深30センチ〜10メートルも潜ることができ、数センチの小型の魚から30センチほどの魚まで様々な種類の魚を食べます。

この生態から、川釣りなどで栄える地域の水産業に被害が出ており、ヤマメやアユなどの稚魚を放流しても カワウの群れに食べられてしまうという状況が増えているのです。

カワウ被害の対策

カワウ被害の対策として、主に個体数管理分布管理が行われています。

  • 個体数管理の目的
    カワウが密集している地域でこれ以上個体数を増やさないため、群れの大型化を防ぐために行われ、ドライアイスを巣に入れることによる羽化抑制雛の捕獲親鳥の捕獲が実施されています。
  • 分布管理の目的
    過密状態になっているカワウの分布を適正に戻すことを目的として、ねぐらやコロニーを除去し、群れ同士が近くなりすぎないよう、管理しやすい分布に管理します。

カワウの特徴的な生態の1つに ねぐらの複数形成があり、1つのねぐらを1年中使用するのではなく、いくつかのねぐらを持って時と場合に応じて使い分けながら生活します。

そのため

例え 1箇所のねぐらを除去したとしても、周辺のねぐらに移動するだけになってしまいます。

まず把握すべきは 複数ある群れのねぐらの配置や群れの規模で、その後 以下の判断を行います。

  • 水産業を行っている水辺から近いねぐらを除去する
  • 個体数調整を行う
  • 川辺の生息環境を整える

ドローンを活用したカワウ対策

このようなカワウ被害が発生している中、ドローンはどのように活用されているのでしょうか。

ドローンが活用されている場面

  • 営巣地である高所での繁殖抑制
  • 水辺での追い払い

カワウは地面から平均6メートル、最高11メートルもの高さの樹上に巣を作るため、人間が作業をするには大変危険な場所です。

そこで、これらの作業でドローンを活用する取り組みが始まったのじゃ!

具体的に行われていること

  • 営巣地にビニール紐を張ってカワウの接近を妨げる
  • 巣にドライアイスを投入する
  • 水辺でカワウを追い払う
  1. ビニール紐設置
    風が吹くことで音を立ててなびくビニール紐を営巣地近くに設置することでカワウが巣に近づき難くなり、小規模の群れであればねぐらを放棄し利用しなくなる。
    それに応じて周辺の水辺にも出没しなくなるなどの効果があります。
    高所での作業であるために、今までははしご等を利用して危険を冒して作業をしたり釣竿を伸ばしてビニール紐を張ったりと大変な作業を強いられていました。

    ポイント

    しかし、ドローンを導入したことによって作業時間を短縮して、安全に確実にビニール紐張りができるようになりました。
  2. 巣へのドライアイス投入
    こちらも同様に、水産業のためとはいえ大変危険な作業であったものが、ドローンの活用によって上空からドライアイスを巣に投入できるようになったため作業がより簡易化されました。
  3. カワウの追い払い
    ドローンの飛行技術とスピーカーを合わせて活用することで水辺のカワウの追い払いが、多くの人手を取らずに行えるようになりました。

これまでの問題点

以前まで カワウの追い払いはロケット花火や銃声が使用されていましたが、銃器の使用は誰にでもできるものではないうえ、至近距離まで近づかなければ、あまり効果がありませんでした。

ドローンによる新たな可能性

ドローンの使用により、以下のような 効果的な対策ができるようになりました。

  • ある程度離れていても追い払いが可能になった
  • カワウを追いかけられるようになったことで追い払いがより効果的になった。
  • カワウ被害対策のための情報収集にも役立っている。
    ドローンは高所に営巣するカワウの分布や営巣状況、群れの状況を観察することにも大変適しています。

最新技術ドローンの活用は、航空法の順守や見慣れない機械の操作、導入費用の高さなど難しい面もありますが、野生鳥獣の生息数増加や農林水産業従事者の減少、狩猟者の減少など様々な問題を抱える獣害分野においては、新たな解決策を見出してくれる可能性が十分にある技術です。

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