獣害防止柵にはネット柵、電気柵、ワイヤーメッシュ柵、金属柵、トタンなどの様々な種類があります。
それらの特徴と効果、効果のある動物、おおよその予算などをご紹介します。
獣害防止柵の種類と特徴
1.ネット柵について
ネット柵とは支柱にネットをくくりつけた柵のことで、鳥類だけでなくシカやイノシシ、タヌキなどの動物から田畑を守ることができます。
柵の中でも最も軽量な柵であるため、設置がしやすく導入費用を安く抑えられることが特徴です。ネット自体は数千円から手に入れることができ、竹や廃材を支柱に利用することでより予算を抑えることもできます。
獣害防止専用のネットを商品化している企業もあり、以下のような商品も販売されています。
- ワイヤー入りで噛み切られにくいネット
- 柵設置に必要なものがセットになった商品
設置方法の種類
- 垂直設置 : 地面からまっすぐネットを張る方法。
- スカートネット : 支柱の上部からネットを斜めに垂らす方法で、柵を飛び越えるのを防止。
ネット柵は、手軽でコストを抑えながら田畑を守ることができる便利な方法といえます。
2.電気柵について
電気柵とは支柱に通した電線に電気を流した柵で、電気柵に触れた動物に電気を流すことで田畑から追い返すことができます。
電気柵についての基礎知識は必要になりますが、重くないため比較的設置が簡単で、一人でも設置することが可能です。
柵の高さや電線の幅を調整することでクマ、シカ、イノシシ、アライグマ、ハクビシンなど様々な動物の侵入を防ぐことができます。
初心者向けのセット商品もありますので、設置が不安な方はそのような商品を選んでみるのも良いでしょう。
初心者向けセットのPOINT!
- 必要なものが全て揃った電柵セットが販売されており、初めての方でも設置しやすい。
- 100メートル分の電柵と支柱、電源装置など必要なものが全て揃ったセット商品は、1万円代から購入可能で 田畑の面積等に応じて電柵と支柱を買い足す形が一般的。

3.ワイヤーメッシュ柵について
ワイヤーメッシュ柵とは、本来コンクリートのひび割れ防止や強度補強として用いられているワイヤーメッシュを獣害対策に利用したもので、手軽さと強度を兼ね備えています。
支柱の打ち込み作業やワイヤーメッシュ同士の固定作業など、電気柵やネット柵に比べて設置の作業量は多いですが、その分強度も強いため大きな効果が期待できます。
高さを調整することで、中型獣やイノシシだけでなくシカの侵入防止にもなり、ワイヤーメッシュ柵に電気を通すことで樹上生活を送るサルに効果的な柵に工夫することもできます。
ワイヤーメッシュ自体はまとめ買いなどを利用すると1枚1000円代~手に入れることができますが、その他に田畑の大きさに応じて支柱や留め具が必要となります。
ワイヤーメッシュ柵は 設置に手間がかかりますが、強度があり 長期的な防護効果を考えると有力な選択肢になりそうです。
4.金属柵について
金属柵はこれらの中で最も強度があり維持管理の手間が少ない柵です。
ワイヤーメッシュ柵と比べて作りもしっかりしており、公園や空き地に設置されているフェンスのような作りになっています。
故障や破損の頻度が少ない一方で最初の搬入や設置が大変で、集落全体を柵で囲む場合や山の中に柵を設置する場合など、柵の設置にある程度予算をかけられる都道府県や自治体の大規模対策に用いられることが多い柵です。
種類と設置場所
- パネル式金網 :山の斜面や起伏の激しい地形に適している。
- ロール式金網 :平地で設置しやすいタイプ。
クマやシカ、イノシシはもちろん、網目の大きさによって中型獣の侵入防止も期待できます。設置費用は田畑の大きさにもよりますが、十数万〜数十万円ほどです。
金属柵は設置の負担が大きいものの、その強度や耐久性を考えると大規模な獣害対策に最適です。
5.トタンについて
トタンは材質や塗装状況によって価格帯が幅広いですが、安価なものであれば1枚数百円から手に入れることができます。
デメリットとして、雨で錆びてしまうことや台風や大雨で倒れてしまうことなどがありますが、支柱や地面にしっかりと固定することで強度の高い柵を作ることができます。
他の柵にはない「田畑の農作物を隠す目隠し効果」もあるため、電気柵やネット柵と併用することでより高い効果を得ることも出来ます。
柵の高さや強度を工夫することで、クマ、シカ、イノシシ、中型獣の被害を防ぐことができます。
それぞれの柵 ~ 特徴まとめ ~
種類 | 価格帯 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ネット柵 | 数千円〜 | 軽量で設置が簡単、低コスト ★鳥類、シカ、イノシシ、タヌキ |
強度が低く、破損しやすい |
電気柵 | 1万円代〜 | 設置が簡単、様々な動物に対応 ★クマ、シカ、イノシシ、アライグマ、ハクビシン |
電源が必要、基礎知識が必要 |
ワイヤーメッシュ柵 | 1000円代〜(1枚) | 強度が高い ★中型獣・サル |
設置作業が多い、支柱・留め具が必要 |
金属柵 | 十数万〜数十万円 | 非常に強固、維持管理が楽 ★クマ、シカ、イノシシ、中型獣 |
初期費用が高い、設置作業が大変 |
トタン | 数百円〜(1枚) | 安価、目隠し効果がある ★クマ、シカ、イノシシ、中型獣 |
錆びやすい、強風で倒れる可能性 |

柵の設置と補助金
近年の獣害被害の増加に伴って、現在政府では獣害被害をこれ以上増やさないための様々な取り組みを行っています。
その1つとして、鳥獣被害対策実施隊の設置があります。
鳥獣被害対策実施隊とは、さらなる被害の抑止のために対象鳥獣の捕獲や防護柵の設置を実行するために市町村から指名された隊員のことで、実施隊としての活動中は非常勤公務員として報酬や補償が受けられることになっています(細かい規定は各市町村の条例によって異なります)。
これらの隊員への優遇措置の他に、個人で行う鳥獣被害対策への補助金や助成金の支給も行っており、地域によっては柵の設置や延長などに掛かった費用の数割を負担してくれる制度もあります。
市町村のホームページを始め、担当者に問い合わせてみるなどしてみてください。