人間と動物の境界線、バッファーゾーン

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バッファーゾーンとは?柵やフェンスの効果をより高めるための使用方法と注意点

獣害対策として柵やフェンスの使用を検討している方に向けて、バッファーゾーンの重要性と効果、効果のある害獣などをご紹介します。

バッファーゾーンとは?

バッファーゾーンとは人の生活圏と野生動物の生活圏を隔てる緩衝地帯のことです。

このエリアに人間の気配や存在を感じさせることで、そのエリアから先に侵入させづらくする効果があります。

田畑や集落への侵入を防止したい場合、物理的な侵入防止として柵やフェンスの設置が検討されることが多いですが、バッファーゾーンを作り出すことの効果も大変大きく、被害状況や周辺環境によっては柵やフェンスを設置しなくても被害が激減する可能性があります。

バッファーゾーンの作り方

  • 田畑や柵の周囲に生える草木や茂みを刈り払い、動物の隠れ場所を無くす
  • 見通しの良い空間を確保することで、野生動物の警戒心を高める
  • バッファーゾーンには、草むらや耕作放棄地などを活用

また、効果を維持させるためには年に数回の定期的な刈り払いと環境整備が必要になります。

どんな動物に効果がある?

  • イノシシ:草陰を好む性質があるため、特に効果大
  • シカ:開けた場所にも現れるため、効果は限定的
  • タヌキやアライグマなどの中型獣:一定の効果あり

バッファーゾーン設置の最大のメリット

  • 野生動物による田畑・人の生活圏への侵入抑制
  • 柵の効果を最大限に高める
  • 結果として、以下のような副次的メリットも・車との衝突事故の減少
    ・柵の破損・故障の減少

柵の種類とバッファーゾーンとの相性

ここからは柵の種類によるバッファーゾーン設置の相性をご紹介します。

ネット柵・電気柵(強度が低い柵)

まず、ネット柵電気柵など強度が弱い柵類を設置している地域では、バッファーゾーンの設置が特に効果的です。

ネット柵電気柵の課題

  • ツルやツタが絡まり重みでネットが取れてしまう
  • 近くの茂みにより動物が接近しやすくなる
  • ネットを噛み切られて侵入される事例も

電気柵の課題

  • 草木が触れると電気が弱まり、動物への電気ショックが効かなくなるケースも
  • 元々強度が弱いため、通電しなければただの線で 突破されやすくなる
  • 柵ごと倒されたり、隙間をくぐって田畑に入られたりする可能性も
バッファーゾーンで草木を除去することで、通電の安定化や接近自体の抑制が可能。

 

金属柵・ワイヤーメッシュ柵(強度が高い柵)

一方、金属柵やワイヤーメッシュ柵などは、ネット柵や電気柵と比べて強度はあるものの、全く管理をせずにそのまま放置していると危険です。

金属柵やワイヤーメッシュ柵の課題

  • 経年劣化
  • 倒木や土砂による破壊
  • 生じた隙間から動物たちが侵入するリスク

バッファーゾーンを作ることで将来的な修繕費を削減することにもつながります。

 

バッファーゾーン設置のデメリット

定期的な草刈り・環境整備が必要ですが、これらの手間で防げる被害や削減できる対策費がありますので、正しい整備方法を知った上で継続的に整備を行いましょう。

バッファーゾーンの整備については、季節や周辺環境によってやるべきことが変わってきますので、次の項目で詳しくご説明します。

バッファーゾーンの整備

バッファーゾーンの整備は、年に2〜4回を目安に定期的に行いましょう。

具体的な整備内容

  • 下草の刈り払い
  • ツル・ツタの除去
  • 忌避剤の散布(動物の侵入抑止に有効)

🏡 整備主体は、農業従事者や地域住民による自主的な実施または合同作業も行われることがあります。

具体的な対策は周辺の立地や環境に応じて異なるため 画一的なマニュアルがあるわけではありませんが、一般的には季節に合わせて作業します。

季節 主な整備内容
春〜夏 下草の刈り払い
落葉の除去や処分が中心

自然災害後の対応

また、大型の台風や大雨などの自然災害で、柵に被害が及ぶこともあります。

たとえ集落や都心に目立った被害がなくても、山林では次のような影響があるかもしれません。

  • 小規模な土砂崩れ
  • 雷による倒木

注意ポイント

大雨・強風による土砂崩れ・倒木は、雨風が止んだ数日後に発生する可能性もありますので、点検をする際は、必ず周囲の安全、身の安全に十分注意し、雨風が収まって数日後あけて複数人で点検を行うようにしましょう。

新たな取り組み:放牧による整備の簡易化

近年では、バッファーゾーンの整備を簡易化するために耕作放棄地や田畑の周辺に家畜を放牧する取り組みも行われています。

日本では農地法という法律のため、農業用地を農業以外の目的で使用することが原則禁止されておる。しかし、畜産業であればこの農地法による問題はないんじゃ。

近年畜産業で懸念されている問題として、畜舎で生活する家畜の動物福祉や肉牛の肉質向上家畜育成の低コスト化などがあります。

耕作放棄地での放牧による農地の活用で、こんな利点が!

  • 放牧によって、家畜のストレス軽減健康的な成長が期待できます。
  • 農地を再利用することで、草刈りや土地管理の手間が省ける利点も。
  • 農業と畜産業の双方にメリットのある土地活用として、地域活性化の可能性も広がります。

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