同じイタチ科に属し姿形がよく似ているイタチ、テン、オコジョの違いとは?
初心者でも分かりやすい見分け方をご紹介します。
見た目で見分ける
ここでは動物の大きさや毛色などの外見で見分ける方法をご紹介します。
◆ イタチ(ニホンイタチ・チョウセンイタチ)
- 細長く、頭~尻まで 30センチ前後 / 尾 12〜20cm
- 背面は茶色・額から鼻の一部は黒っぽく、口元~腹部は白
- オスのみが狩猟鳥獣に指定
見分けが難しいですが、オスはメスより大きく、頭から尻までの体長が2倍ほどの体格差になることもあります。
現在日本に生息している2種類のイタチ
- ニホンイタチ:日本の在来種
- チョウセンイタチ:朝鮮半島からの外来種
チョウセンイタチはニホンイタチより少し体が大きく、西日本の都市部や里山などではニホンイタチよりチョウセンイタチの分布が広がっているようです。
イタチは、ニホンイタチ・チョウセンイタチ共にオスのみ狩猟鳥獣に指定されており、猟期には狩猟者たちの狩猟対象となることがあります。
イタチは雌雄のサイズが大きく異なるため、イタチだと分かっている前提であれば雌雄判別は容易なのですが、イタチの他にもテンやオコジョなど体型が似通った動物が多いため、狩猟鳥獣に指定されていながらも狩猟される個体はそこまで多くありません。
◆テン(クロテンの仲間)
- 頭~尻 45〜50cm / 尾 20cm前後 / 体重 1〜1.5kgほど
- イタチより少しやや大きめの 細長い体型
- 季節によって毛色変化
夏毛:茶色っぽい体、四肢と目鼻部分一体が黒
冬毛:黄褐色や黄色い体毛、顔は白っぽく変化
テンは雌雄ともに狩猟鳥獣に指定されており、テンだと見分けがつきやすい冬場に狩猟されることが多いです。
イタチやオコジョと見分けるポイントは、体毛の色とサイズで、冬場は特に識別がしやすくなっています。
ただし、以下のテンは環境のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されているため、特定の地域や地方自治体によっては狩猟に制限が掲載されている場合もあります。
- 長崎県対馬に生息するテンの亜種であるツシマテン
- クロテンの亜種であり北海道に生息するエゾクロテン
狩猟目的でテンの判別を行いたい方は、地方自治体や猟友会に相談してみましょう。
◆ オコジョ(ホンドオコジョ・エゾオコジョ)
- 細長く、頭~尻 15〜30cm / 尾 6〜12cm
- 小型で目が大きく愛らしい印象
ですが、本記事で紹介する3種の動物の中では唯一の肉食獣で、性格も少々どう猛な部分があります。 - 季節によって毛色変化
夏毛:茶色っぽい体毛
冬毛:全身真っ白の冬毛に生え変わる
オコジョは狩猟鳥獣に指定されておらず、日本在来のオコジョであるホンドオコジョ、エゾオコジョは準絶滅危惧種に指定されているため「オコジョを狩猟してはいけない」という意味で判別できるようになっておく必要があります。


イタチ科は雌雄でサイズが異なること、個体毎に毛が生え変わる換毛期に差があることなどを考えると、見た目と合わせて生息環境や行動などを総合的に判断する必要がありそうです。
痕跡で見分ける
ここでは狩猟中に付近で見つけた足跡や、家屋被害が疑われる庭や屋根の上に見つけた糞から動物種を判別する方法をご紹介します。
1.イタチの場合
- 足跡の大きさ:2.5cm
- フンの特徴:長さ 6cm前後 / 細長く 人間の親指のような形 / 水分が多く 柔らかい
- 習性:一箇所にまとめて排泄する「ためフン」の習性あり
糞の堆積は木造家屋に使われている木材の腐敗や悪臭の大きな鯨飲となります。
このためフンという習性はイタチだけでなくテンやオコジョも同じなのですが、イタチの場合は糞中の水分量が多いため、特に家屋被害への影響が大きいと言われています。
被害のサイン
- 雨漏りでもないのに天井にシミができる
- 夜中になると天井裏で足音が聞こえる
- ツンとした悪臭を感じる
このようなサインがある場合は家屋被害が起きている可能性もあります。
2.テンの場合
- 足跡の大きさ:3.5cmほど
- フンの特徴:長さ 約10cm / 細長い形
- 習性:一箇所にまとめて排泄する「ためフン」の習性あり
イタチと同様にためフンをするので、糞が溜まっている所は寄生虫や感染症、ダニ・ノミ・ウジの繁殖など、かなり不衛生な状態になってしまいます。
注意ポイント
家屋被害だけでなく、人間やペットが病気やウイルスに感染してしまう可能性もあるので、フンを見つけた場合にも絶対に素手で触らずに、細かい調査をする場合はできる限り地自体や専門家、専門業者に依頼をしましょう。
3.オコジョの場合
- 足跡の大きさ:3cmほど
- フンの特徴:長さ 2〜5cm / 丸っぽい形 / 匂いが特に臭い / 肉食性のため、糞に植物成分が含まれないことが多い
被害調査のポイント
危険のない範囲で家屋の隙間や屋根の梁を定期的に確認したり、怪しい穴の周囲に白い粉(小麦粉など)をまいて足跡を記録する。
生態で見分ける
ここでは、生息地や食性、繁殖や出産についての違いを見ていきましょう。
◆ イタチの生態
イタチは肉食よりの雑食・・・小動物やカエル、昆虫、ザリガニ、カニなどを幅広くエサにします。
イタチは年2回の繁殖で、1回の出産に3〜7匹の子どもを産んで育てます。
現在日本には、ニホンイタチとチョウセンイタチの2種類が生息していますが、西日本には朝鮮大陸からやってきたチョウセンイタチが分布しています。
本来は地面の穴や木の洞で生活をしていますが、暖かくて屋根もあり安全な民家の天井裏や壁の隙間に巣を作ることもあります。
◆ テンの生態
テンも肉食よりの雑食・・・ネズミや昆虫のほか果実なども好んで食べます。
テンの繁殖は年に1回で、2〜4匹の子どもを産むなどイタチの中では少産です。
基本的には本州・四国・九州の森林に分布しており、北海道南部で見られることもありますが、沖縄には生息していません。
木登りが得意なため1日のほとんどを樹上で過ごしており、里山のように自然が近く樹木がある地域であれば、民家や寺・神社などに住み着くこともあります。
◆ オコジョの生態
オコジョは 紹介した3種の動物の中で唯一の肉食・・・野ネズミや野ウサギ、鳥などを狩りして食べます。
繁殖は年に1回行われ、1回の出産で4〜6匹の子供を産みます。
時に自分の体より大きい獲物を狙うなど、気性の荒さがイタチやテンとは異なります。