狂暴アライグマ

害獣の原因と主な対策、害獣の特徴

外来生物アライグマによる獣害被害とは?その特徴と対策

近年国内で増加している外来生物アライグマによる獣害被害の特徴を紹介し、その原因と有効な対策を解説します。

アライグマの生態

アメリカやカナダなど北アメリカ原産のアライグマは、昭和50年代にテレビで放送された子ども向け人気アニメの影響で、ペットとして日本に輸入されるようになりました。

アライグマという名前は、前足を水に入れて獲物を探る様子から名付けられ、その”洗う”ような可愛らしい仕草さからペットとして人気になりました。しかし、その可愛らしい外見からは想像しにくい凶暴な一面も持っているため、ペットとして飼育されていたアライグマが野山に捨てられたり、手先が器用であるという特徴からケージをこじ開けて自ら逃げ出したりして、一部の個体が野生化し、日本の生態系や家屋、農作物に被害を与えています。現在日本では「外来生物のうち、生態系や人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、または及ぼす恐れのあるもの」として特定外来生物に指定されており、飼育や輸入、譲渡などが規制されています。

目の周りから頬にかけて垂れ下がるアイマスクのような黒い毛が特徴的で、体重は4〜10数キロと小型犬から中型犬ほど、頭から尻までの長さは40〜60センチ、縞模様が特徴的な尾は20〜40センチほどです。

食性は雑食で、野菜・果実・穀類をはじめとして魚類・鳥類・両生類・爬虫類・昆虫類を幅広く捕食します。基本的には水辺近くの森林に生息するのですが、湿地や農地、海岸、都市部など幅広い環境に適応可能で、都市部ではゴミ置場の生ゴミや家庭菜園の野菜などを食べる場合もあります。

また、アライグマは繁殖能力が高く、繁殖期にあたる春から夏にかけて平均3〜4頭の子どもを産みます。日本にはアライグマの天敵となるような大型肉食動物は少なく、性成熟が1〜2年と早いため、駆除が追いつかないほどのスピードで繁殖し、国内での生息頭数・生息域はどんどん増加しているのです。

そして最も注意すべきなのは、アライグマの性格です。

子どもの頃は一緒に遊べるほど人間に懐くアライグマも、徐々に気性が荒くなって攻撃性を伴うようになり、成長するにつれて人間と一緒に生活をするペットとしての暮らしが難しくなっていくのです。

現在国内では野生化した個体の生息頭数が急増しており、山林や地方の集落だけでなく、市街地でも見かけるようになっています。好んで人を襲うわけではありませんが、アライグマ自らの命や子どもの命、食べ物が絡んで敵だとみなされてしまうと、相手が人であっても攻撃してくる可能性があるため、見かけた場合は近づいたり手を出したりせず通り過ぎましょう。

アライグマによる獣害被害

アライグマによる獣害被害は、生態系被害、家屋被害、農林水産業の3つがあります。

1つ目の生態系被害については、雑食であるその幅広い食性によって日本固有の生態系が崩れてしまう被害です。

日本特有の貴重な在来種を食べてしまったり、本来は日本原産生物の生息地であった場所にアライグマが住み着くことによって日本の生物が生息地から追い出されてしまったりする可能性も懸念されています。北海道では実際にニホンザリガニやエゾサンショウウオといった固有種の捕食をしていたり、私たちの生活の身近でも公園の池に放されたコイや金魚を食べたり、庭で飼育しているペットの餌を横取りして食べたりという被害も報告されています。

2つ目の家屋被害については、アライグマが民家や寺社の屋根裏をねぐらや子育てに利用することで、家屋や歴史的建造物が被害を受けてしまうケースです。

アライグマは基本的に夜行性な上に、自分で巣を作るのではなく他の動物が作った巣を再利用したり、木の洞や隙間を利用して生活したりする特徴があります。そのため、木造家屋の屋根裏部屋や人のいない納屋、寺社などをうまく活用しようとするのです。アライグマが棲みついてしまうと、屋根裏で糞尿が溜まって悪臭を放ったり、糞尿の重さで天井が腐って抜け落ちたりしまうこともあります。

その他にも、屋根裏部屋付近に敷き詰められている断熱材を引っ張り出して子育てをしている被害や、アライグマが持ち込んだダニ・ノミなどの寄生虫がその家に住む人やペットにまで被害を与える場合もあります。これには人的被害にも含まれ、ダニ、ノミでアレルギーや虫刺されを起こす危険もあります。アライグマから人に感染する病気もありますので、こちらは後ほど解説します。

農作物被害については、主に果樹や野菜への被害が報告されています。

農林水産省の「野生鳥獣による農作物被害状況の推移」によると、アライグマによる農作物の被害金額は平成27年度には3億4400万円、平成28年度は3億3600万円、平成29年度には3億2700万円になっています。

国内のアライグマによる農作物被害はここ数年で急増しており、調査が始められた平成12年度には3600万円だった被害が、10年後の平成22年度には約10倍にあたる3億5200万円にも被害が膨らんでいます。被害額に応じて国内に生息する個体数も増加していると考えられます。その上、この金額は農作物被害のみの被害金額であるため、家屋被害も含めると私たち人間の生活にどれほど大きな影響を与えているかが分かります。

北海道では特に甘みのある野菜や果実が多く被害にあっており、トウモロコシやメロン、スイカ、イチゴの他にも家畜用の飼料、養殖魚の食害、そして家畜用の牧草ロールやパックが破壊されるケースも報告されています。

アライグマ被害に有効な対策

近年、公園などを住処にしながら市街地に暮らすアライグマが増加しています。実際に兵庫県では平成28年度の捕獲数が5300頭、大阪府でも平成13年度には捕獲数が3頭だったアライグマが、平成28年度には2000頭と過去最多の捕獲数を更新するほど一気に繁殖しています。

時には深夜の繁華街に出没するなど、警察や消防が出動する騒ぎになることもあります。このような現状を受け、国は「外来生物の防除では、日本在来の野生鳥獣の管理のように被害を防止しつつ保全を図るのではなく、完全排除が基本です。」として、地域からの完全排除を目的とした対策を行っています。

その対策は、主に「防除」と「捕獲」の2つがあります。

1つ目の防除は、生息域を拡大し続けるアライグマに対して、これ以上生息地を拡大させないような対策を行うことです。

近隣地域にまでアライグマ生息地が迫っている、もしくは、直接の被害は出ていないが最近アライグマを見かけるようになったという場合は、地域住民への呼びかけや注意喚起により、個体数が増加する前の些細な目撃情報を元に完全排除を徹底します。アライグマは繁殖力と適応能力が高いため、生息し始めて数年で個体数は激増し、それに伴う被害も徐々に目立ってくるようになります。

そのため、被害がでる前の初期段階での効果的な排除が必要不可欠なのです。

2つ目の捕獲は、生息数を減らすためにその地に生息している個体を捕獲することです。

それは、1〜2年で性成熟し、1度の出産で3〜4頭もの子どもを産むアライグマの繁殖力の高さを考えると、毎年かなりの頭数を捕獲する必要があることを意味します。そのため闇雲に罠をかけて捕獲するのではなく、生息環境や頻繁に出没する地域をモニタリングするなどして、いかに効率的に捕獲をできるかが重要となります。また、専門家だけでなく、「生ごみを指定の時間に出す」「アライグマを見かけても絶対に餌を与えない」など地域住民の理解と協力も必要不可欠です。

対策の注意点と人への健康被害

野生のアライグマへの直接的・間接的接触には、感染症や寄生虫などの危険性が伴います。ここではアライグマから感染の可能性がある病気の中でも、危険性の高いものを3つご紹介します。

1つ目は狂犬病です。

アライグマは致死率100パーセントとも言われる狂犬病を媒介する動物として知られており、感染したアライグマに噛み付かれた場合はワクチンなどの早急な対応が必要となります。

2つ目はアライグマ回虫という寄生虫の一種で、現時点では人への感染例はありませんが、アライグマ原産地であるアメリカでは人に感染して死亡した被害もあるため注意が必要です。

3つ目はマダニによる感染症で、こちらも危険度は高く、感染した場合には発熱・下痢・皮下出血・意識障害などを引き起こす場合があります。

もちろん全てのアライグマがこれらの病気・寄生虫を持っているわけではありませんし、いまだに国内では確認されていない感染症もあります。しかし、海外から連れてきたアライグマのような動物の場合は、意図せずとも日本にはない病気を一緒に持ち込んでいる可能性もあるのです。

その上アライグマは人の管理下ではなく野生化で急増しているわけですから、正確な感染率や発症率などの情報を得ることが難しいのも事実です。

まず私たちにできることは、アライグマに触れ合う危険性を知り、出会ってしまった時も触れないことです。害獣駆除業者や捕獲、生息地調査を行う専門家の方も、糞尿や体毛に触れる可能性がある場合は必ず手袋を使用し、肌を露出しない、使用した衣類や道具は消毒する等を徹底していますので、もしご自宅の屋根裏や倉庫が気になった場合には、必ず事前に地方自治体や専門家に相談して、自力で対処しようとせず専門の方に駆除を依頼するようにしましょう。

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