害獣に関する制度、免許、関連法規

危険と隣り合わせ~狩猟免許制度について

鳥獣保護法における狩猟免許制度について解説し、狩猟の目的や狩猟者に求められていることなどをご紹介します。

狩猟免許制度とは

狩猟免許制度とは、国が定める制度の1つで、鳥獣保護法という法の中で定義されています。この狩猟免許には4種の免許があり、使用できる猟具や難易度によって区分されています。

免許の種類
網を利用した狩猟ができる網猟(あみりょう)免許
わなを利用した狩猟ができるわな猟免許
装薬銃を利用した狩猟ができる第一種銃猟(じゅうりょう)免許
空気銃を利用した狩猟ができる第二種銃猟(じゅうりょう)免許

狩猟免許を取得する際には合格しなければならない試験もあるため、知識があれば誰でもいつでも狩猟が出来るという訳ではないのです。

自分が行いたいと思う狩猟スタイルや目的に合った免許を見極め、それに合わせた情報収集と試験勉強が必要になります。

この制度からも分かる通り、狩猟と一言で表してもそのスタイルや目的に応じて様々な方法や道具があります。

狩猟は、野生動物と直接かかわったり特殊な道具を使用したりと危険も伴うため、狩猟方法に応じた正しい知識と経験が必要不可欠です。狩猟免許は、それらの知識と経験を得た者だけが得ることのできる証明書と言っても良いでしょう。

ただし勘違いしてはならないのは、狩猟免許を所持しているからといっていつでもどこでも狩猟が出来るわけでは無いということです。

野生動物

実際に狩猟をするためには『狩猟者登録』という都道府県での登録が必要になり、狩猟免許を保持したうえでこの手続きを行う必要があります。

実際に狩猟を行うまで多くのステップがあるように感じてしまいますが、これは都道府県によって生息する動物が異なることや自然や農業の環境が異なること、獣害や害獣の種類が異なることなどを考えれば、必要な手続きです。

狩猟者免許講習や試験の日程、狩猟者登録などの詳細は、都道府県ごとに詳細が異なる場合がありますので、必ず事前に各都道府県に問い合わせて確認しましょう。

狩猟の目的とは

狩猟とは、法定猟法により、狩猟鳥獣の捕獲等をすることと定められています。これは、鳥獣保護管理法第2条8項において定義づけられたもので、日本の全都道府県で共通した狩猟の定義です。

近年の日本では、地方の少子化や耕作放棄地の増加、農業の機械化などによって、野生鳥獣による農林水産被害が深刻化・広域化しており、その被害金額は172億円という調査もあります。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/tyozyu/180119.html参考:農林水産省 > 全国の野生鳥獣による農産物被害状況について(平成28年度)

狩猟とは、これらの被害を減少させ、日本国内の農林水産業と生態系を守ることが目的であると言えます。

ただし、狩猟可能な動物・鳥類の種類は国によってあらかじめ決められています。これらの鳥獣は“狩猟鳥獣”と呼ばれており、日本に生息する約700種の野生鳥獣の中から農林水産業への害性や生息状況への影響を考慮したうえで、鳥類28種類、獣類20種類の合計48種類に絞られています。

基本的にはこの48種に限って狩猟が可能なため、野生鳥獣を覚える事はもちろんのこと、実際に狩猟を行っていくうえでは、外見が似た種類との見分け方の技術も身に付けていくこととなるでしょう。

個体数調査結果や害性、その土地での希少性などによっては、狩猟鳥獣に指定されているにもかかわらず狩猟を禁止している場合や捕獲数を制限している場合がありますので、こちらも各都道府県での確認が必要です。

狩猟者の役割とは

荒らすサル

ここまで免許制度や目的についての概要をご説明してきたので、ここではもう少し具体的なお話をしようと思います。

実際にみなさんが狩猟者として活躍することになった場合、具体的にどのような役割を担うのかご存じですか?

その役割として、主に次のような業務があげられます。

  • 個体数が増加している狩猟鳥獣を捕獲して個体数を調整すること
  • サルやイノシシ、クマなどから地域住民を守るために地域のパトロール
  • 農家や住民の方々と相談して野生鳥獣の町への侵入を防ぐ網や柵を設置する
  • 農林水産業の被害を減らすために網やわな、電気柵を設置・管理する
  • 住宅や納屋に入って棲みついてしまった野生鳥獣を保護・捕獲する
  • 具体的な被害が出来る前から近隣の鳥獣の群れの動向などを観察する
  • 人間と野生鳥獣がどのように棲み分けたらよいかについて自治体と対策をねる

このように狩猟者は、野生鳥獣による獣害を減らす及び減らすための対策として計画・実施するなど、日々さまざまな役割を担っているのです。

今や獣害は田舎だけのものではなくなり、都会でも増加傾向にあります。あなたが将来どの地域で狩猟者になるかによって、その役割や活躍方法も大きく変わるはずです。

危険が伴う狩猟としての義務

最後に、もしあなたが狩猟を行うとなると、狩猟免許制度だけでなく、様々な規定によって守るべき事柄が多いということを実感するでしょう。先ほどご説明した各都道府県の狩猟者登録や狩猟が出来る鳥獣種の指定、更には狩猟が出来る期間や区域、制限などもかなり細かく決められています。

狩猟者の適切な管理、狩猟事故の防止、地域住民の安全、乱獲の防止などの目的があるのですが、1番の大きな理由は、狩猟には危険が伴うからです。

狩猟とは、猟具の使用方法や判断を少しでも間違えてしまえば、最悪の事態をも招いてしまう行動。それを肝に銘じ、自覚と緊張感を持ち続けられる人が狩猟者に向いている人だといえるでしょう。

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